2025年11月上旬より、特定の旧バージョンのOSおよびLINEアプリケーションを利用するスマートフォンにおいて、LINEの公式サポートが終了します。
対象となるのは、LINEバージョン13.20.0以下、およびiOS 14.8.1以下の端末など、一部の旧型デバイスの利用者に限定されます。大多数のユーザーは影響を受けません。
サポート終了後も即座に利用不可能になるわけではありませんが、セキュリティ更新が停止するため、アカウントの乗っ取り、個人情報の漏洩、ウイルス感染といったリスクが著しく増大します。
また、旧バージョンのままでは、将来的な機種変更時にトーク履歴などの重要データを正常に引き継げなくなる可能性があります。
たまにコメントがありますが、このまま古いものを使い続けて来年以降あたらしくスマホを購入するとおっしゃる方がいらっしゃいます。
推奨される対応は、OSのアップデートを先に行い、その後LINEアプリを最新版に更新するという手順を遵守することです。アップデート前には、データのバックアップ、十分な充電、安定したWi-Fi環境、ストレージ空き容量の確保が不可欠です。
LINEのアルバムに保存された写真は、ユーザーのアカウントに紐づいてクラウドサーバーに保管されているため、アカウント自体を削除しない限り、サポート終了や機種変更後も新しい端末で閲覧・利用が可能です。「アプリのアンインストール(削除)」と「アカウント削除」は全く異なる操作であり、後者は全データの完全消去を意味するため、厳に慎む必要があります。
目次
1. サービス終了の概要
2025年11月上旬をもって、LINEは旧バージョンのアプリケーションおよびOS環境に対するサポートを終了します。これは、セキュリティとサービスの品質を維持するための措置です。
- 終了時期: 2025年11月上旬
- 対象バージョン:
- LINEアプリ: 13.20.0 以下
- iOS (iPhone/iPad): 14.8.1 以下
- Android: 特定の旧バージョン
- 影響の範囲:
- サポート終了は、ただちにアプリケーションが利用できなくなることを意味するものではありません。しかし、正常な動作が保証されなくなり、不具合が発生する可能性が高まります。
- この措置の影響を受けるのは、長期間にわたりOSやアプリの更新を行っていない一部のユーザーに限定されます。
2. 旧バージョン利用継続に伴うリスク
サポートが終了した旧バージョンのLINEアプリを継続して使用することは、複数の深刻なリスクを伴います。
2.1. セキュリティの脆弱性
- サポートの停止: LINE側からのセキュリティ保護やサポートが受けられなくなります。
- 未修正の脆弱性: システムにセキュリティ上の欠陥(脆弱性)が発見された場合でも、それを修正するためのアップデートが提供されません。
2.2. 具体的な脅威
セキュリティサポートの欠如は、以下のようなサイバー攻撃に対して無防備な状態を生み出します。
- アカウントの乗っ取り: 第三者にアカウントを不正に利用される危険性が高まります。
- 情報漏洩: 個人情報やプライベートなトークの内容が外部に流出する可能性があります。
- ウイルス感染: 不正なプログラムに感染するリスクが増大します。
2.3. データ移行の障害
旧バージョンのままでは、スマートフォンを買い替える際に重大な問題が発生する可能性があります。
- データ損失: トーク履歴、友達リスト、購入済みスタンプといった重要なデータを新しい端末へ正常に移行できず、完全に失ってしまうリスクがあります。
3. 推奨される対応策とアップデート手順
安全にLINEを利用し続けるためには、OSとアプリを最新の状態に保つことが不可欠です。アップデートは以下の順序と準備をもって実行することが強く推奨されます。
3.1. アップデートの基本原則
「OSのアップデートを先に行い、その後にアプリをアップデートする」という順序が重要です。OSという土台を最新化した上で、その上で動作するアプリケーションを更新することで、互換性の問題や不具合を最小限に抑えることができます。
3.2. ステップ1: バージョンの確認
まず、現在のLINEアプリのバージョンを確認します。
- LINEアプリを起動し、左下の「ホーム」タブを選択します。
- 右上の歯車アイコン(設定)をタップします。
- 画面を最下部までスクロールし、「LINEについて」をタップします。
- 表示される「現在のバージョン」を確認し、
13.20.0
以下であるかを確認します。
3.3. ステップ2: OSアップデート前の準備
OSのアップデートは大規模な更新であるため、事前の準備が失敗を防ぎます。
準備項目 | 内容と注意点 |
データバックアップ | 万一の事態に備え、データを保護します。<br>・iPhone: iCloudまたはPCの「Appleデバイス」アプリを利用してバックアップを作成します。iCloudの無料容量(5GB)を超える場合は有料プランが必要です。<br>・Android: Googleアカウント設定内の「バックアップ」機能を利用します。 |
電源の確保 | アップデートには時間がかかる場合があります。途中で電源が切れるとシステムが破損する恐れがあるため、十分に充電した状態で開始するか、充電ケーブルに接続したまま行います。 |
安定した通信環境 | 更新データは容量が大きいため、モバイルデータ通信ではなく、自宅などの安定したWi-Fi環境で実行します。 |
ストレージ空き容量 | 最低でも3GB以上の空き容量を確保してください。容量不足はアップデート失敗の原因となります。 |
アカウント情報 | アップデート後に再ログインを求められる場合に備え、Apple IDやGoogleアカウントのIDとパスワードを事前に確認・準備しておきます。 |
3.4. ステップ3: OSとアプリのアップデート実行
準備が完了したら、以下の手順でアップデートを実行します。
- iPhone (iOS):
- 「設定」アプリを開き、「一般」をタップします。
- 「ソフトウェアアップデート」をタップし、画面の指示に従い更新します。
- Android:
- 「設定」アプリを開き、「システム」をタップします。
- 「ソフトウェアのアップデート」に進み、まず「システムのアップデート」を実行します。
- OSの更新完了後、必要に応じて「アプリのアップデート」を実行します。
OSのアップデートが完了した後、App StoreまたはGoogle PlayストアからLINEアプリを最新版に更新してください。
3.5. アップデートが不可能な場合
使用しているスマートフォンが古く、OSのアップデートが提供されない場合は、ハードウェア自体が現代のセキュリティ要件に対応できなくなっていることを意味します。この場合、LINEだけでなく他のアプリやスマートフォン全体の動作にも不具合が生じる可能性が高いため、新しい端末への買い替えを検討することが最善の策となります。
4. LINEデータ(特にアルバム)の取り扱いと注意点
サービス終了や機種変更に伴うデータの扱い、特に写真の保存場所であるアルバムについては、正しい知識を持つことが重要です。
4.1. LINEアルバムの仕様
- 保存場所: トークルーム内に作成されたアルバムの写真は、個々のスマートフォン端末ではなく、LINEのクラウドサーバー上に保存されています。
- データ保持: このため、LINEアカウントが正常な状態である限り、アプリを再インストールしたり、新しいスマートフォンに機種変更したりしても、アルバムの写真は自動的に引き継がれます。
4.2. 「アンインストール」と「アカウント削除」の決定的違い
この2つの操作は、データに与える影響が全く異なります。
- アンインストール(アプリの削除):
- 端末からLINEアプリを消す操作です。トーク履歴は消えます。再インストールしても過去の会話は元に戻りません。
- LINEの会員情報(アカウント)はサーバー上に残ります。
- 再度アプリをインストールし、同じアカウントでログインすれば、友達リストやアルバムなどは復元されます。ただし、事前にバックアップを取っていないトーク履歴は消えてしまいます。
- アカウント削除:
- LINEからの「退会」を意味する操作です。
- アカウントに関連する全てのデータ(友達、トーク履歴、アルバム、購入アイテム等)がサーバーから完全に削除されます。
- 一度削除したデータは二度と復元できません。 この操作は、サービスが使えなくなった場合でも絶対に行わないでください。
4.3. トーク内の写真とアルバム写真の違い
LINE上で写真を扱う際には、2つの保存方法の違いを理解しておく必要があります。
項目 | トーク内に投稿された写真 | アルバムに保存された写真 |
保存期間 | 一定期間が経過するとサーバーから削除され、閲覧できなくなる可能性があります。 | 期間の制限なく保存されます。 |
永続性 | 永続的な保存は保証されません。重要な写真は端末本体へのダウンロードが必要です。 | トークルームが存在する限り、永続的に保存・閲覧が可能です。 |
共有の性質 | ― | トークルームのメンバーとの「共有の保存箱」です。他のメンバーがアルバムや写真を削除すると、自分の画面からも消えてしまいます。 |
5. スマートフォンの継続的なメンテナンスの重要性
専門家は、スマートフォンの利用を自動車の所有に例え、継続的なメンテナンスの必要性を強調しています。
- アップデートの必要性: スマートフォンは購入時の状態のまま使い続けられるわけではありません。自動車に車検や定期点検が必要なように、スマートフォンにもOSやアプリの定期的なアップデートというメンテナンスが不可欠です。
- 使用頻度との無関係: あまり利用しないからといって、メンテナンスを怠ることはできません。セキュリティ上の脅威は、利用頻度に関係なく存在します。
- 社会的責任: アップデートを怠り、セキュリティが脆弱な状態でスマートフォンを使い続けることは、自身が被害者になるだけでなく、意図せず他者への攻撃の踏み台にされるなど、周囲に迷惑をかけるリスクも内包しています。常にデバイスを最新の状態に保つことは、現代のデジタル社会における責任の一つです。