みなさん、こんにちは。いなわくTVの川島です。
こんなことで困ったことはありませんか?
「iPhoneで使いたいアプリがApp Storeにしかない」「ゲームアプリで課金する時、手数料が高い気がする」「標準ブラウザをSafari以外に変えられない」──こんなモヤモヤを感じたことはありませんか?
実は2025年12月18日、日本のスマートフォンに関する大きな法律が施行されました。その名も「スマホソフトウェア競争促進法」、通称「スマホ新法」です。この法律は、AppleやGoogleによるスマホ市場の独占状態を是正し、私たちユーザーにもっと選択肢を与えることを目的としています。
目次
安心してください、焦らなくて大丈夫です
新しい法律と聞くと難しそう、と身構えてしまうかもしれませんが、慌てる必要はありません。この法律はあなたのスマホを突然使えなくするものではなく、むしろこれまで通りの使い方もできるし、新しい選択肢も増えるという内容です。ゆっくり理解していけば大丈夫ですし、何度でもこの記事を読み返してくださいね。
スマホ新法って何?
法律が作られた理由
日本のスマートフォン市場では、AppleのiPhoneとGoogleのAndroidが4000万人以上のユーザーを抱え、事実上の二強状態(寡占状態)となっていました。この2社は、アプリで課金する際に最大30%もの手数料を徴収し、決済方法もApple PayとGoogle Payに制限していたのです。
公正取引委員会は、こうした独占状態が公正な競争を妨げていると判断しました。利用者がもっと自由にサービスを選べるように、そしてアプリ開発者が不当に高い手数料を取られないようにするため、この法律が2024年6月に成立し、2025年12月18日に全面施行されたのです。
規制対象となる企業
スマホ新法では、AppleとGoogleが「指定事業者」として規制対象になっています。具体的には、以下の4つの分野が規制されます:
- モバイルOS(iOSとAndroid)
- アプリストア(App StoreとGoogle Play)
- ブラウザ(SafariやChrome)
- 検索エンジン(GoogleやYahoo!など)
スマホ新法で何が変わるの?
アプリストアの選択肢が増える
これまでiPhoneではApp Store、AndroidではGoogle Playからしかアプリをダウンロードできませんでしたが、スマホ新法施行後は、他のアプリストアからもアプリをダウンロードできるようになります。AppleとGoogleは、自社以外のアプリストアでの配信を妨げることが禁止されました。
決済方法の自由化
アプリ内課金で、Apple PayやGoogle Pay以外の決済方法も選べるようになります。アプリ開発者が自社サイトでの購入を促すリンクを設置する行為への制限も緩和されました。これにより、手数料が下がり、結果的にユーザーの支払い額も安くなる可能性があります。
ブラウザや検索エンジンを選べる
スマホの初期設定時に、「チョイススクリーン」という選択画面が表示されるようになります。ここで、標準で使うブラウザ(SafariかChromeか、など)や検索エンジン(GoogleかBingか、など)を自分で選択できるのです。また、非接触決済アプリや翻訳アプリなども選択可能になります。
OS機能へのアクセス自由化
これまでAppleやGoogleが自社アプリでしか使えなかった特定のOS機能を、他社のアプリ開発者も使えるようになります。これにより、より高機能で便利なアプリが登場する可能性があります。
スマホ新法のメリット
利用者にとってのメリット
- 選択肢が増える: アプリストア、ブラウザ、検索エンジンなど、自分に合ったサービスを選べます
- 価格が下がる可能性: 決済手数料が下がることで、アプリやサービスの価格が安くなるかもしれません
- より良いサービス: 競争が活発化することで、企業がより良いサービスを提供しようと努力するようになります
開発者にとってのメリット
スマホ新法で気をつけること
セキュリティリスクへの注意
最も懸念されているのが、セキュリティ面のリスクです。これまでApple StoreやGoogle Play以外からのアプリダウンロードは制限されていましたが、これが開放されることで、審査の緩いストアから危険なアプリや詐欺アプリが出回る可能性が指摘されています。
注意すべきポイント:
- 知らないアプリストアからは安易にアプリをダウンロードしない
- アプリのレビューや評判を必ず確認する
- 不審な決済画面が表示された場合は、すぐに操作を中止する
- 公式ストア(App Store、Google Play)を引き続き利用するのも安全な選択肢
ヨーロッパの事例に学ぶ
実はヨーロッパでは、日本より先に同様の法律(デジタル市場法)が施行されています。その結果、セキュリティ面での問題が報告されているため、日本でも同じような事態にならないか懸念する声があります。
ただし、スマホ新法には「正当化事由」という特徴的な仕組みがあります。AppleやGoogleは、セキュリティ保護、プライバシー確保、青少年保護、犯罪防止などを理由とする場合、一定の制限を設けることが認められています。
プライバシー保護も大切
新しいアプリストアや決済サービスを使う際は、個人情報の取り扱いについても注意が必要です。信頼できる企業のサービスを選び、プライバシーポリシーをしっかり確認しましょう。
具体的な操作手順
STEP1: チョイススクリーンの表示を確認
スマホを新しく購入した時、またはOSをアップデートした時に、「チョイススクリーン」という選択画面が表示されます。
操作方法:
- 画面に表示されたブラウザや検索エンジンの選択肢を確認する
- 自分が使いたいものを選んでタップする
- 「決定」または「次へ」をタップして設定を完了する
STEP2: 新しいアプリストアを利用する場合
もし、App StoreやGoogle Play以外のアプリストアを使いたい場合の手順です。
操作方法:
- 信頼できる新しいアプリストアのウェブサイトにアクセスする
- 「ダウンロード」ボタンをタップ
- セキュリティ警告が表示された場合は、内容をよく読む
- 問題ないと判断したら、インストールを許可する
- アプリストアを開き、欲しいアプリを検索してダウンロードする
注意点: 必ず公式サイトや信頼できる情報源から新しいストアをダウンロードしてください。
STEP3: 別の決済方法を選ぶ場合
アプリ内課金で、別の決済方法を使いたい場合の手順です。
操作方法:
- アプリ内で課金したいアイテムをタップ
- 決済方法の選択画面が表示されたら、利用したい方法を選ぶ
- クレジットカード情報など、必要な情報を入力する
- 決済内容を確認し、「購入」をタップ
- 確認メールが届いたら保存しておく
注意点: 見慣れない決済画面が表示された場合は、詐欺の可能性もあるため慎重に確認してください。
STEP4: 標準ブラウザを変更する場合
既にスマホを持っている方が、標準ブラウザを変更したい場合の手順です。
iPhone(iOS)の場合:
- 「設定」アプリを開く
- 下にスクロールして使いたいブラウザアプリ(例: Chrome)をタップ
- 「デフォルトのブラウザApp」をタップ
- 使いたいブラウザを選択する
Android(Google)の場合:
- 「設定」アプリを開く
- 「アプリ」または「アプリと通知」をタップ
- 「デフォルトアプリ」をタップ
- 「ブラウザアプリ」をタップ
- 使いたいブラウザを選択する
STEP5: 安全にスマホを使い続けるために
新しい選択肢が増えても、安全に使い続けるための基本ルールです。
日常的に気をつけること:
- アプリは公式ストア(App Store、Google Play)からダウンロードするのが最も安全
- どうしても他のストアを使う場合は、評判をよく調べる
- 不審なリンクやメールは開かない
- OSやアプリは常に最新バージョンにアップデートする
- セキュリティソフトの導入を検討する
よくある質問
Q1: 今すぐ何か設定を変える必要がありますか?
A: いいえ、急いで変更する必要はありません。これまで通りの使い方を続けても全く問題ありません。新しい選択肢が増えただけで、従来の方法も引き続き利用できます。
Q2: 違反した企業にはどんな罰則がありますか?
A: 公正取引委員会が監督しており、違反した企業には違反行為の差止め命令、是正措置、そして国内売上の最大20〜30%という非常に高額な課徴金が科される可能性があります。
Q3: 既存のアプリは使えなくなりますか?
A: いいえ、使えなくなることはありません。現在使っているアプリはそのまま使い続けられます。ただし、一部のアプリで決済方法の選択肢が増えるなどの変化があるかもしれません。
Q4: セキュリティが心配です
A: その心配は正当なものです。ただし、法律には「セキュリティ保護」「プライバシー確保」「青少年保護」を理由とする制限は認められるという規定があります。また、これまで通り公式ストアだけを使い続けることもできますので、安全性を優先したい方はその選択肢を取ることができます。
違反時の申告方法
もし、AppleやGoogleがスマホ新法に違反していると感じた場合は、公正取引委員会に申告することができます。公正取引委員会の公式サイトに「スマホ法に係る申告フォーム」が設置されています。
公正取引委員会の公式サイトに設置された「スマホ法に係る申告フォーム（スマホ法違反被疑事実についての申告）」のリンク先は、以下のURLとなります。
このページから、AppleやGoogleなどの指定事業者が「他社のアプリストアを妨害している」「不当に高い手数料を強制している」といった違反の疑いがある場合に、直接情報を送ることができます。
💡 補足情報：相談窓口も開設されています
「違反かどうか確信が持てない」「まずは専門家に相談したい」という場合に備え、専用の相談窓口も設置されています。
- スマホソフトウェア競争促進法（スマホ法）相談窓口
- URL: https://msca-soudan.jftc.go.jp/
- 内容: アプリ事業者や利用者向けに、無料の相談・アドバイスを行っています。
- 電話窓口: 0120-009-668（平日 10:00〜17:00）
申告の際のポイント
- 具体的な内容: 「いつ」「どのアプリで」「どのような制限を受けたか」など、できるだけ具体的な事実を記入すると、調査がスムーズに進みやすくなります。
- 匿名性: 申告者の秘密は厳守されますが、必要に応じて公正取引委員会から詳細を確認するために連絡が来る場合があります。
まとめにかえて
スマホ新法は、私たちに「選ぶ自由」を与えてくれる法律です。アプリストア、ブラウザ、決済方法など、これまで限られていた選択肢が広がります。一方で、セキュリティ面では注意が必要で、信頼できるサービスを慎重に選ぶことが大切になります。
焦る必要はありません。ゆっくりと新しい選択肢を確認しながら、自分に合った使い方を見つけていきましょう。困ったときは、このブログ記事を何度でも読み返してくださいね。
重要なポイント:
- 2025年12月18日施行の新しい法律
- AppleとGoogleの独占を是正
- アプリストア、決済方法、ブラウザの選択肢が増える
- セキュリティには十分注意が必要
- 従来通りの使い方も可能
公正取引委員会の公式サイトでは、スマホ法の解説動画「知ってる!?スマホ法」も公開されていますので、さらに詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
